湯のまち別府にある、宿×文化発信拠点「HAJIMARI Beppu」のニュースレターです。
当館では、6室の暮らすように過ごせ、お仕事や滞在制作もしやすい客室(定員1~5名)を備え、〈一泊一湯〉近隣の風情有る共同温泉のチケットをプレゼント(10湯から選べます!)。1階「HAJIMARI LOUNGE」では日頃は「喫茶ゆあみ」がオープンしている他、展示やトークイベント、手しごとワークショップなど様々な活動が行われており気軽にご参加いただけます。
本ニュースレターでは、毎月のご案内と、HAJIMARI Beppuの「いま」をお届けします。
2月のはじまり
二月。暦の上では春を迎えましたが、寒さはなお続き、朝晩の空気は凛と澄んで、身体にまっすぐ触れてきます。吐く息の白さや、指先に残る感覚が、季節の輪郭を静かに教えてくれます。
こんな時期には、湯の温もりに身をゆだねる時間が、自然と恋しくなります。浴槽に全身を浸し、ほどけ、呼吸が整っていく——その過程そのものが、冬の時間とやさしく重なっていきます。
別府では、温泉が特別な出来事ではなく、日々の流れのなかにあります。まちに点在する共同温泉に身を沈め、湯上がりの余韻をまとったまま歩くと、気持ちの中に静かな余白を抱きながら、思考の輪郭がすっと立ち上がってきます。そんな湯上がりの逍遥の途中に、HAJIMARI Beppuがあります。
もし時間が許せば、夜を挟んでこのまちに身を置いてみてください。一湯で終わらせず、時間帯ごとに異なる湯と出会うことで、まちの表情とともに、自分自身の感覚がゆっくりと調律されていくのを感じていただけると思います。
寒さのなかでこそ際立つ、温もりと静けさとともに。HAJIMARI Beppuより、二月のはじまりをお届けいたします。
1月は『HAJIMARI BEPPU ARTIST BAR vol.39』が開催されました。
今回のホストは、KASHIMA 2025 BEPPU ARTIST IN RESIDENCE招聘アーティストより、台湾・台北を拠点に、オブジェクトやテキスト、映像など多様なメディアを横断しながら、記憶や時間、アイデンティティが移ろう瞬間をとらえる表現を続けてきた現代美術アーティストのエスター・イーチュン・リンさん、戦後の環境変化や植物の移動を手がかりに、地域社会や文化のあり方を問い直す実践を、アーティスト・プロデューサー・オーガナイザーとして展開してきた、ベトナム出身のスアン・ハさん、そして、風船や水、日記といった身近な素材を通して、記憶や感情、他者との関係の中で揺らぐ「わたし」の存在を静かに見つめる作品を制作している、大分県出身の森﨑 澪さんの3名でした。
今回はこれまでの自身の活動や作品について別府での制作構想などを時間いっぱいお話ししていただき、それぞれのユニークな活動内容や作品の制作風景のお話に参加者全員が熱中して耳を傾ける時間となりました。
2月もHAJIMARI Beppuでは、多彩なイベントやコンテンツをご用意しています。どうぞお楽しみに!
Events

【HAJIMARI Talk Live No.005】『幸せの企画術』
別府市の宿泊+複合⽂化拠点「HAJIMARI Beppu」にて、【HAJIMARI Talk Live No.005 】を開催します。今回は、脚本家・放送作家であり、日本を代表する企画者の小山薫堂さんをお迎えします。
映画『おくりびと』や『湯道』の脚本をはじめ、『くまモン』のプロデュースなど、食や文化、観光の分野で数多くの企画を手がけて来られた小山さん。昨年の大阪・関西万博では、食をテーマにしたパビリオン《E A R T H M A R T 》をプロデュースし、「いのち」や「幸せ」を、「買い物」という日常の延長線上から問い直す試みに取り組まれました。
小山さんは、別府を度々訪れ、別府を愛し、この土地の温泉、食、文化、そして人のあたたかさに深く触れてこられた方です。
今回は、共通のご縁をきっかけに、不思議な巡り合わせが重なり、トークが実現しました。まさに「ご縁が呼び寄せた」一夕限りの時間です。
今回のトークでは、企画という仕事の裏側だけでなく、万博という大きな舞台で考えたこと、その経験を経たいまだからこそ見えている視点、土地と人の関わり合い、幸せの設計、そしてこれからの日本や地域に必要な感覚について、別府という場所だからこそ語られる言葉が紡がれるのではと思います。
<開催日>
2026年2月7日(土)16時00分〜18時00分(開場:15時00分)
<主催>
ハジマリアーキテクツ 株式会社
<会場>
HAJIMARI Beppu 1階 HAJIMARI LOUNGE
<参加チケット料金>
①一般・ワンドリンク付き(コーヒーor和紅茶):2,500円(税込
②一般・ドリンクなし:2,100円(税込)
③学生・ドリンクなし:1,500円(税込)
※ドリンク等は当日もお求めいただけます。
Workshop


2/19(Thu)13:00〜/季節の花の会 春の花を使ったパリスタイルブーケ
La brise fleursによるパリスタイルのフラワーアレンジワークショップ。今のこの時期だけ楽しんでいただける季節の花を思う存分楽しんでいただきます💐
2月はパリスタイルブーケをお作りいただきます🧺
a) 季節の手紡ぎ 8,800円 b) 花のいろは 6,600円
※ a)かb)により大きさや内容が変わります。
※どちらのクラスも初心者~経験者まで参加可能
※お花や内容はその季節のおまかせとなります
※写真はイメージです。
お申し込み・詳細はこちら

2/21(Sat)10:00〜/陶芸ワークショップ
宿主人でもあるWakako ceramics (坂本和歌子)による、手捻りの陶芸ワークショップ。マグカップやお茶碗、カフェオレボウルなど、自分で作るお気に入りのうつわを作ってみませんか?
お申し込み・詳細はこちら
Infomtion

温泉に浸かって癒やされたからだを、内側からもすこやかにいられるように、という思いを込めて、心もからだもほっとできるスープをはじめとしたフードやこだわりのスイーツ、ドリンクを揃える喫茶ゆあみ。
ランチ時に、午後のお茶のお時間に是非お立ち寄りください。
【営業時間】月・木・日曜日11:00-17:30(17:00 L.O.)
金・土曜日11:00-20:00(19:30L.O.)
※イベントにより異なる場合あり。SNSをご確認ください。
【定休日】 火曜・水曜
※定休日の10:00~15:00は、ドリンクのみご提供可能です。併設する「うみとじかん」の焼き菓子と一緒にお楽しみいただけます。

チーズテリーヌ
今回は「チーズテリーヌ」をご紹介いたします。
クリームチーズをたっぷり使って、しっとり焼き上げたチーズテリーヌは濃厚なのにくどくなく、サワークリームのやさしい酸味ががふわっと香ります。
なめらかな口当たりで甘さは控えめ、口の中でゆっくりほどけていく味わいです。
コーヒーにも紅茶にもよく合い、静かな午後のおともにおすすめです。
数量限定でのご用意ですのでぜひお早めにお試しください。
チーズテリーヌ:880 円(税込)
客室のご紹介


HAJIMARI Beppuの客室をご紹介いたします。
今回ご紹介する客室は【Room 3C】。大分市にアトリエを構える、安部泰輔さんの作品を楽しめるお部屋です。壁面には絵画作品を展示し、古着やハギレを使用した立体作品も展示しています。まちでご利用いただける作品「おふくろうさん」を身に付けて出かければ、不思議な出会いがあるかもしれません。入り口から入るとまず5畳ほどの土間ワークスペースがあります。このワークスペースはデスクワークや制作作業、ミニギャラリーとしてもご利用いただけます。
(※ギャラリーとして使用する場合は、ご予約時にお電話でご相談ください。)
HAJIMARI LOUNGE SHOPだより

SHORT STORIES:BEPPU
『SHORT STORIES』は西野壮平の代表作『Diorama Map』を都市ごとに、小さな本にまとめていくシリーズです。 第一弾は、2020年に撮影された別府の町になります。 温泉で有名な観光地として知られるこの地で、西野は200湯もの温泉を撮影しています。
街を歩き、感じ、切り取りながら、別府に点在する200湯もの温泉をめぐり、あらゆる視点で撮影された写真が、コラージュのように繋がれていきます。
旅を振り返るエッセイも添えられた一冊は、都市の記憶とまなざしを編み込んだ旅行記のよう。
SHORT STORIES:BEPPU:4,180円(税込)
今月の「別府の風景」


竹瓦温泉
別府の街中、人々の気配が濃く重なる場所にある竹瓦温泉。通りを行き交う人の声や足音の中、現れる唐破風造の屋根。その姿を目にした瞬間、このまちが温泉とともに歩んできた時間の厚みを感じます。
竹瓦温泉のはじまりは、明治12年(1879年)。当初は竹屋根葺きの浴場として建てられ、その後、瓦葺きに改築されたことから「竹瓦温泉」と呼ばれるようになったと伝えられています。現在の建物は昭和13年(1938年)に建設されたもので、正面に構える豪華な唐破風造の屋根は、いまや別府温泉を象徴する風景のひとつとなりました。
館内に足を踏み入れると、天井の高いロビーが迎えてくれます。昭和初期の面影を色濃く残すこの空間は、湯上りに腰を掛けて、ほっと息をつくための場所。壁や照明、空気の温度までが、どこか懐かしく感じます。
竹瓦温泉の名物といえば、砂湯。浴衣に着替え、砂の上に横たわると、砂かけさんが温泉で温められた砂をやさしくかけてくれます。じんわりと体の芯まで伝わる温もりは、湯に浸かるのとはまた違った、別府ならではの体験です。
地元の人にとっては日常の一片として、旅人にとっては記憶に残る風景として。朝早くから湯に浸かり、一日をはじめる人の姿も珍しくありません。竹瓦温泉は、観光地でありながら生活の場でもあり、別府というまちの鼓動がそのまま流れ込む空間です。
まちを歩き、湯に身を委ねる。その行き来のなかで、別府の時間と自分の時間が、静かに重なっていきます。竹瓦温泉は、そんな別府らしさを感じられる場所のひとつです。
住所
・大分県別府市元町16番23号
営業時間
・普通浴:6時30分~22時30分
・砂湯:8時~22時30分(最終受付 21時30分)
定休日
・第3水曜日(※祝日の場合は翌日休)
料金
・普通浴
大人(中学生以上):300円
小人:100円(小学生未満は無料)
・砂湯:1,500円(6歳以上入浴可能)
ハジマリアーキテクツだより
HAJIMARI Beppuは、建築設計事務所ハジマリアーキテクツ株式会社が自社プロデュースし、運営しています。HAJIMARI Beppuの建物は、築46年になる地域に愛されてきた元酒卸業倉庫建物を、自社で耐震再生し活用しています。古い建物は丁寧に再生すると、地域の記憶を引き継ぎながら、現行法規に適合した安全で快適な建物に生まれ変われる事を体験して頂ければ嬉しいです。
こちらでは毎月、ハジマリアーキテクツの「いま」もお伝えできれば幸いです。
傾斜地形を体験価値へ別府・鉄輪『Rock & Steam』の試み


別府・鉄輪に計画されている『Rock & Steam』は、「傾斜地をどう扱うか」という問いから始まった建築だ。
計画地は、高低差の大きい斜面地。造成によって地形を均すのではなく、三棟の建物を上下二段に分節し、扇状に配置することで、地形とリズミカルに呼応する構成を採った。段差によって生まれた隙間には光と風が通り、鉄輪に見られる高低差のある路地の風景が、建築の内部にまで引き込まれていく。半屋外的な空間が全体を緩やかにつなぎ、敷地全体が一つの小さな街のようなスケール感を持つ。
傾斜地に安全性を与えながら、景観にひらき、この土地ならではの起伏や奥行きを、身体で感じられる滞在体験として取り込むこと。厳しい条件を制約としてではなく秩序へと編み直し、新たな「風景」として定着させていくことが、この建築の核心にある。
客室は分譲ホテル形式とし、多様なオーナーや宿泊者の利用を想定した、合理的で柔軟な平面構成をベースとしている。一方で、畳や左官といった素材を随所に用い、鉄輪の空気感や手仕事の気配が、空間のなかに静かに立ち上がる。
すべての客室には源泉かけ流しの温泉風呂を備え、なかには特別に設えられたサウナを併設した客室も用意されている。地形に寄り添う建築と、湯と熱の身体感覚が重なり合うことで、鉄輪ならではの滞在体験が立ち上がる。
また館内には、世界的に活躍するアーティストによる作品が点在する予定だ。建築や地形、温泉体験と呼応するように設えられたアートが、滞在の時間にもう一つのレイヤーを与え、空間体験を拡張していくだろう。
12月の開業に向け、建築主である関屋リゾート様の新たな試みを具現化すべく、設計・施工の各チームが対話を重ねながら、建築・風景・滞在体験を編み上げている。鉄輪という土地の読み解きから生まれた、新しい滞在のかたちが、姿を現しつつある。

